【reCamera 初心者ガイド】エッジAIカメラでコンピュータービジョンを始めよう！

Seeed Node-RED AI 電子工作 開発 コンピュータ

はじめに

2025.05.05版

この記事はreCamera（リカメラ）のハンズオンの内容です。

ここでは、デバイスのセットアップから基本的な使い方まで、ステップバイステップで説明します。初心者向けにAIビジョン機能を活用するための手順を紹介します。

この内容は以下のリンクの内容を日本語化し、加筆などを行ったものになります。詳細は以下のリンクの内容も御覧ください。

wiki.seeedstudio.com

なお、私が購入したものは有線タイプのreCamera 2002 64GBなので、以降の内容でWiFiモデルのことについては参考元の資料からの引用となりますのでご了承ください。

reCameraは、プロセッサとカメラセンサーを組み合わせたスタンドアロンシステムで、デバイスのみでAIによる検出や制御タスクを処理することができます。また、RISC-V SoCを搭載し、カメラ性能が5MP@30FPS、1TOPSという処理速度のパフォーマンスがあります。

デバイス仕様

デバイスの仕様は以下のようになっています。

項目 仕様
プロセッサー SOPHGO SG2002 RISC-V SoC
CPU C906 (1GHz) + C906 (700MHz)
MCU 8051@8KB SRAM
AIパフォーマンス 1 TOPS (INT8)
メモリ 256MB
ストレージ 8GB/64GB eMMC（モデルによる）
カメラ 5MP、30FPS
接続 USB Type-C、イーサネット、Wi-Fi（2.4GHz/5GHz）、Bluetooth 4.2/5.0（モデルによる）
電源 USB Type-C
ソフトウェア Linux OS、Node-RED、SenseCraft AI
サポートAIモデル YOLO v5/v8/11 など

同梱物の確認

reCameraには以下の内容物がはいっています。揃っていることを確認してください。

  • reCamera本体
  • USBタイプCケーブル
  • その他の付属品

電源投入とインジケーターライト

付属のUSBタイプCケーブルを使用して、デバイスの電源を入れます。緑色のLEDが点灯することを確認してください。

LEDの点灯色の意味

  • 中央の緑色のライト　…　電源オン
  • 点滅する赤色のライト　…　CPUのハートビート
  • 青色のライト　…　eMMCのステータス（読み書き時に点滅）

ネットワーク接続方法

reCameraをネットワークに接続するには、デバイスによって以下の方法があります。

1. USB接続を使用する方法

reCameraをUSBケーブルでPCに接続し、ブラウザから192.168.42.1にアクセスします。

PCがNCMドライバーを正しく認識していることを確認してください。

確認方法

Windowsの【デバイスマネージャー】から【 ネットワークアダプター】の項目を確認します。

※ドライバーが見つからない場合は、次の手順でインストールしてください

  1. 【Win+X キー】を押して【デバイスマネージャー】を選択
  2. 【その他のデバイス】内の認識されていないデバイスを見つけて【ドライバーの更新】をクリック
  3. 【Microsoft】から【UsbNcm Host Device】を選択し、【次へ】ボタンをクリック
  4. ダイアログでアラートが表示されたら【はい】ボタンをクリック
  5. cmdなどのターミナルウィンドウでping 192.168.42.1と入力して接続確認

ipconfigでのネットワークデバイスの確認

pingコマンドでの疎通確認

UsbNcm Host Deviceについて

UsbNcm Host Deviceは、USBネットワークコントロールモデル(NCM)デバイス用のWindowsドライバです。NCMはUSB-IFによって定義された規格で、USBを介してイーサネットパケットを転送するための最新のUSB標準通信インターフェースです。このドライバにより、PCとreCamera間でUSB経由のネットワーク接続が可能になります。Windows11では標準でこのドライバがサポートされており、USBケーブルで接続するだけで自動的にネットワークアダプターとして認識されます。

Windowsでのネットワーク接続問題

reCameraのUSBネットワークを使用した後、Windows11でネットワークアクセスに問題がある場合

  1. 【Win+X】を押して【コントロールパネル】をクリック
  2. 【すべてのコントロールパネル項目】→【ネットワーク接続】を選択
  3. 【UsbNcm Host Device】を右クリック
  4. 【プロパティ】→【TCP/IPv4】→【プロパティ】→【詳細設定】→【自動メトリック】のチェックを外す→【インターフェイスメトリック】フィールドに【255】と入力→【OK】ボタンをクリック

2. Wi-Fi接続を使用する方法（ワイヤレス機能付きモデルの場合）

電源投入時、reCameraはアクセスポイント(AP)を有効にしてネットワーク設定を変更できるようにします。スマートフォンやラップトップのWi-Fiリストを開くと、reCamera_******というWi-Fi名が表示されるはずです。APの命名規則はrecamera_+ デバイスのMACアドレスの下6桁となっています。デフォルトのパスワードは12345678です。

このAPに接続すると、ウェブサイトが自動的にポップアップ表示されます。表示されない場合は、ブラウザのアドレスに192.168.16.1と入力してページにアクセスできます。ここでreCameraを接続したいWi-Fiを選択できます。

3. Ethernet接続を使用する方法

Ethernetポートを使用する場合は、付属のケーブルを使用してルータに接続できます。デバイスの電源はタイプCケーブルによる接続が必要です。カメラの背面のネジを外して接続します。ネジは6角なので別途工具が必要になりますのでご注意ください。

また、デバイスのIPアドレスはDHCP経由で取得されるので、各々のIPアドレス体系となりますのでご注意ください。

初期設定

ブラウザからreCameraのIPアドレス（192.168.42.1など）にアクセスし、パスワードを変更してください。このパスワードを忘れないようにしてください。※忘れた場合は、デバイスを工場出荷時の状態にリセットする必要があります。 デフォルトパスワードはユーザネームと同じとなっています。

OSの更新（初期バージョンのreCamera をお持ちの場合）

初期バージョンのreCameraをお持ちの場合は、次の手順に従って最新バージョンのOSにアップグレードしておきます。

  1. 管理ページの【三】をクリックし、サイドバーの中にある【System】をクリックし、【Update】の項目にある【Software Update】の【Check】ボタンをクリック
  2. OSバージョンを確認し、【チェックして適用】ボタンをクリック
  3. システムの更新が完了するまで数分待つ
  4. デバイスを再起動して管理ページのURLを更新
  5. 初期パスワード（recamera）から新パスワードへの変更ダイアログが表示されるので、パスワードを変更
  6. 管理ページの【三】をクリックし、サイドバーの中にある【System】をクリックし、【System Info】のOSが変更を確認

これでデバイスへの接続準備が整いました。

reCameraでよく使用するURL

以降使用する可能性のあるリンクを一覧にしておきます。

ページ URL
ホームページ http://<ip_address>/#/init
ワークスペース http://<ip_address>/#/workspace (OSバージョン0.1.4以上)
ネットワーク設定 http://<ip_address>/#/network
セキュリティ http://<ip_address>/#/security
ターミナル http://<ip_address>/#/terminal
システム http://<ip_address>/#/system
電源 http://<ip_address>/#/power
オリジナルNode-RED http://<ip_address>:1880

Node-REDダッシュボードの使用

reCameraはNode-REDとの統合していて、ビデオストリームのプレビュー、モデルの変更などができる組み込みダッシュボードUIの例を提供しています。これをカスタマイズして独自のアプリケーションと統合することができます。

ネットワークに接続されていれば、ブラウザでip_address:1880（192.168.42.1:1880など）にアクセスしてNode-RED上でダッシュボードを表示できます。ここでモデルのプレビュー、他のモデルへの切り替え、または便利なノードを使用して必要なアプリケーションを構築することができます。

reCamera内のNode-REDへのアクセス（デフォルトのIPアドレスの場合） http://192.168.42.1:1880/

Node-REDプログラミングの基本

Node-REDは、データの収集、変換、視覚化を行うアプリケーションを構築できるローコードプログラミングプラットフォームです。その直感的なフロー型プログラミングにより、プログラミングの経験がなくても、ドラッグ＆ドロップで簡単にアプリケーションを作成できます。

参考

nodered.org

reCameraのNode-RED環境で使用できるノード群

ダッシュボードノード（ダッシュボード2）

  • ボタン、スライダー、スイッチなどのUIコンポーネント
  • データの視覚化
  • ユーザー入力の受け取り

reCameraノード

‐ reCameraのLED制御

reCamera gimbalノード

‐ reCamerに接続するジンバルを制御 ‐ モーターの角度・スピードの制御及び情報の取得

VisionAIノード

  • カメラの制御（オン/オフ）
  • ビデオストリームの提供
  • 異なるAIモデル（YOLOなど）の読み込み
  • モデルパラメータの調整
  • 物体検出や認識処理

sscma（Seeed SenseCraft Model Assistant）ノード

‐ デバイス情報の表示など

このノードはサブフローによって構成されています。

Node-REDフローの作成方法

  1. ブラウザでデバイスのip_addressにアクセスし、ワークスペース（http://<ip_address>/#/workspace）に移動
  2. 左側のパレットからノードをドラッグ＆ドロップ
  3. ノード間を線で接続してデータの流れを作成
  4. ノードをダブルクリックして設定（プロパティ）を変更
  5. 右上の【Deploy】ボタンをクリックして変更を適用

ワークスペースを開いた様子

※開発時にはワークスペースの左下に【My Application】のした部分にある【Login to SenseCraft】ボタンをクリックしてログインをしてください。

SenseCraftの登録方法

【Login to SenseCraft】ボタンをクリックして、ログインのダイアログの【Sign Up】ボタンをクリック

ユーザ情報の*のついた項目を入力します。【Verification Code】の欄はメールアドレス入力後に【Get captcha】をクリックしてメール宛てに届くコードを入力してください。入力が完了したら【Sign Up】ボタンをクリックしてください。

reCameraサンプルアプリケーション

これらのサンプルプロジェクトはsscma（Seeed SenseCraft Model Assistant）のサイトにありクローンして使用する事ができます。

このサンプルでは以下の様な機能を持っています。

  • モデル出力のプレビュー
  • 人、犬、猫、ボトルなどのカウントデモ
  • 異なるモデルへの切り替え
  • カメラストリームの表示

実行の様子

複数のreCamera デバイスの区別方法

複数のreCameraを使用する場合は、デバイスの背面にあるMACアドレスまたはS/N番号で区別することができます。または、USBまたはAPを介してデバイスをラップトップに接続すると、コマンドを使用してMACアドレスを表示することもできます。

カメラの向き

デフォルトのカメラビューの向きは、タイプCコネクタが下向きとる状態です。トレーニングしたモデルの精度に影響する可能性があるため、カメラの向きに注意してください。

開発方法

reCameraには安定したreCamera OSが搭載されており、ファームウェアのOTAアップデートをサポートしています。さらに、Node-REDとSensecraft AIプラットフォームがデバイスに統合されており、より簡単な展開が可能です。この統合により、初心者の開発者はNode-REDでノードをベースとしたモジュール式のプログラミング体験を得ることができます。上級開発者には、Linuxベースの深い開発とPythonも用意されています。

補足、注意事項、トラブルシューティング

デバイスのリセット方法

デバイスのパスコードを忘れた場合などでデバイスをリセットしたい場合は、ユーザーボタンを長押ししながらデバイスを電源に接続します。デバイスの赤いライトが点滅ではなく常時点灯したら、ユーザーボタンを離します。

まとめ

このガイドでは、reCameraの基本的なセットアップと使用方法について説明しました。reCameraは強力なAIビジョン機能を備えたオープンソースカメラプラットフォームで、さまざまな用途に活用できます。詳細については公式ドキュメントを参照してください。

参考リンク

販売ページ

このチュートリアルは wiki.seeedstudio.com/recamera_getting_started/ の情報を日本語化および加筆を行い作成されています