先日のエントリではRaspberry Pi Pico
(以下Pico
)でLチカの次の段階ということでUSBデバイス(キーボード)を作ってみました。そのときの開発環境はWindowsPCにVisual Studio Code
をインストールして、USBストレージとして見えるPico
(MicroPython環境設定済み)のファイルを編集するというようなものでした。それでも割と問題ないのですが、折角Pico
を使っているので、開発環境すべてをRaspberry Pi
印でそろえるっていうのはどうだろうかと考え、今回のこのようなものを書いてみました。
Raspberry Pi
とPico
があれば格安で開発できるんじゃね?という安易な考え方ではありますが、子どもたち向けにやるにはかなり価格的なハードルが下がるのかなという観点でもあります。
では、現時点(2021年6月)での開発環境を見てみようと思います。
過去エントリー参考
開発環境は?
開発環境として使えそうなものは以下のようなものがあるようです。
- Mu Editor
- Thonny Python IDE
- Visual Studio Code
X環境上でIDEっぽいビジュアルのものを調べた形です。テキストエディタであればUSBストレージ上のファイルを修正するだけなので、基本なんでも行けるはずなんですが、それを言ってしまうとメモ帳でもいいじゃんとなってしまうので禁句ということで
Mu Editor
まずは対応しているといわれているMu Editor
になります。Raspberry Pi OS
によってはインストールされていない可能性もあるかと思いますので、インストールを行ってみます。インストールされている場合にはX環境のメニューのProgrammingのカテゴリーに表示されるのですが、私の環境ではインストールされていませんでした。(自分が使用しているのはRaspberry Pi OS with desktop
なので、Raspberry Pi OS with desktop and recommended software
を使えばインストール済みかもしれません)
ではインストールを行ってみたいと思います。インストールについては既にエントリーを書いているのでそちらをご覧ください。
Mu Editorのインストール
インストールが終わるとメニューのProgrammingカテゴリーに表示されるようになります。ちなみにaptコマンドでインストールを行ってもメニューに追加されるようです。
可能であれば起動前にPico
をUSB接続するようにしましょう。ではメニューから起動してみます。起動するとスプラッシュスクリーンが表示されて
接続環境設定を行うダイアログが表示されます。初期状態ではRaspberry Pi
にインストールされているpython環境を使用するようになっていますが、Pico
のPython環境での開発を行うにはこの中から【Adafruit CircuitPython】を選択します。ここで設定していなくてもメニューバーに【Mode】ボタンがあるのでいつでも変更は可能です。ここで接続をmicro:bit
に変更することも可能です。
選択を行ったら【OK】ボタンをクリックします。環境はどこで確認するかというと、Mu Editor
の右下にAdafruit
という表示が行われていれば大丈夫です。
あとはPythonのコードを書いていくだけです。IDE環境でもあるので、記載しながらヘルプ機能が表示されるのはかなり助かりますね。
あとは、編集しているファイルをcode.pyなどにするとファイルの保存を行う度にPico上で実行が行われていきます。また、メニュー上の【Serial】ボタンをクリックすることで、REPL環境のCircuitPythonも動作します。
他にも【plot】ボタンを押すとデータのグラフ化も行ったりできるようです。試していませんが、Arduino
と同様に便利そうに思います。
Mu Editorを使ってみての感想
入力時のヘルプ機能やREPLへの接続ができるのは割といい感じですね。ただ、この機能だけというのであればわざわざ常用しているテキストエディタでもいいのではというのは否めないかなと思います。初心者にはとっつきやすいので、これで実験をしてから本格的な開発環境へ行くのがおすすめでしょうか。
Thonny Python IDE
こちらはEditorというよりもIDE色が強いものになります。こちらはRaspberry Pi OS
に既にインストールされているので、より標準的な位置づけの開発環境になるのでしょうか?
X環境のメニューからProgramminカテゴリーのThonny Python IDE
選択して起動を行います。
起動するとわりとMu Editor
と似たような雰囲気の画面になります。初期状態ではこちらもRaspberry Pi OS
にインストールされたPython(Version 3.7.3)
へ接続されているのでこれをCircuitPython
へ接続変更します。
ウインドウの右下端のPython 3.7.3
の箇所をクリックすると変更がでてくるので、CircuitPython(Generic)
を選択します。
すると、Pico
のREPL環境へ接続してくれます。
これでOKです。ファイルのロードをしようとするとPico
上のファイルなのかRaspberry Pi
上のファイルなのか尋ねてくれるようです。割と混乱することもあるのでこういう手順を踏んでくれるのはいいなと思います。
あとはファイルを実行していくことになります。
Mu Editor
に比較していいなと思ったのはメニューバーに【Run】ボタンがあることでしょうか。ボタンをクリックするとREPL環境のウインドウに実行結果が表示されるので、地味にうれしいかも。
Thonny Python IDEを使ってみて
Mu Editor
とあまり変わらないかなという印象ですね。メニューバーには【Debug】ボタンはあるのですが、CircuitPython
では有効化されていません。Raspberry Pi OS
のPython環境では使用可能です。つまりまだ発展途上ということでしょうか。あとMu Editor
にPlot機能は見当たらない感じです。
今後の機能の拡充に期待したいです。個人的にはデフォルトで使用できることを考えるならば、Thonny Python IDE
でいいのではと思いました。
Visual Studio Code
これが本命かもと思って使っています。まあ、PCに接続すればいいんじゃね?というご意見は尤もですが。
インストールは現在は正式対応をされたこともあり、かなり簡単になっています。メニューからRecommended Software
にいって選択するだけ、もう手作業いらないんですね…
【Apply】ボタンをクリックするとインストールされて、X環境のメニューにも登録してくれます。正式対応から結構短時間でここまでくるのすごいです。
基本的にはVisual Studio Codeなので一般的なPython環境に関しては問題ありません。
あとはCircuitPython
(MicroPython)に対応した拡張機能をインストールすることになります。
今回はいろいろネット上で記載の多かったPico-Go
をつかってみようかなと思います。
検索して【Install】ボタンをクリックすればインストール作業は終わります。
インストール後にマウスで右クリックするとメニューが開くのでその中から【Pico-Go > Connect】を選べば接続になるのですが…
選択してもなにも起きません?あれ? きました、いつものアレです。
もしかしたら、バージョンの問題と思ったので、古いものがインストールされたからなのかなと思いバージョンを確認してみます。
わりと新しいバージョンがインストールされているようです。なぜ?
ターミナルを開いても、Raspberry Pi
側のコンソールが開くようです。うまく動作していないようですね。
では、手動で同じようにインストールするとどうなるかも調べてみました。
手動でインストールしてもメニューには登録してくれるのか、すげ。 アイコンの色が緑っぽいところが違うみたいです。Insiderとも表記されています。
同様に拡張機能をインストールしてみます。
念のため、バージョンを確認してみますが1.58になっているので、前述のバージョンとほぼ同じ模様。
拡張のドキュメントをよくよく読んでみると…対応OSの部分に
の表記が。このLinuxってなかには入ってないの?ということでドキュメントよく読め案件でした😞
ただ、普通にファイルの編集はできますのでPicoのファイルを読み込んでPythonを実行させるだけなら拡張なしでも普通につかえますよ。
Visual Studio Codeをつかってみて
拡張機能がうまく使えるのであれば100点満点なんですが…他のものと比較したとしても、全然いい感じです。早く拡張機能使えないかなあ。
おわりに
現時点(2021年6月)でのPico
の開発をRaspberry Pi
でやったら何がいいかなという比較をやってみました。
個人的には、現時点ではまだどれもそんなに秀でているとかいうところではなく、Editorとしては使えますという程度でしょうか。
もう少し状況が変わるとRaspberry Pi
印で統一した環境での開発も現実的になるでしょうか。期待を込めて今後も見ていけるといいなと思いました。
結論:PCに接続して開発したほうが今は便利。