以前、RaspberryPi
でZoom
をつかってみようというようなエントリを書いてみましたが、そのときはWebブラウザ経由での利用をしていました。その他の方法ってないのかなとは思っていました。今更ネットを検索していると、RaspberryPi
からでもアプリ版のZoom
がつかえるというような情報を見つけました。そこで今回はそれが本当に可能なのかと検証してみることにしました。
参考
2通りの導入方法を見つけることができたので、2つとも試してみたいと思います。2つとも実はRaspberryPi
上でx86のエミュレータを動作させて、その上でアプリ版のZoom
を動作させるというものです。そのエミュレータはbox86
というもので、以下のような記載があります。
Box86を使用すると、ARMなどのx86以外のLinuxシステムでx86 Linuxプログラム(ゲームなど)を実行できます(ホストシステムは32ビットリトルエンディアンである必要があります)。
参考
ではやってみましょう。
環境
今回使用したのは環境は以下になります。
- RaspberryPi 4B
- RaspberryPi OS Desktop(2021.01.11リリースバージョン)
マイクはUSB接続、スピーカーはPin接続(アナログ)を使用しています。ALSAからの仕様に関しては事前に行っておいてください。
その1(Pi-Apps
を使用する)
1つ目の方法は以下になります。
Pi-Apps
を使用して導入します。Pi-Apps
はアプリのインストーラーの役目をするものです。なので、Zoom
に限らずその他アプリのインストールをGUIで操作できます。またインストール後はRaspberryPi
のX環境での設定(メニューへの登録など)も行ってくれます。
X環境が立ち上がったら、コンソールを立ち上げて以下のように入力を行います。
$ git clone https://github.com/Botspot/pi-apps
GitHub
からリポジトリをクローンしたら、インストールを行います。以下を実行します。
$ /home/pi/pi-apps/install
インストールが無事に行われました。このインストーラーはsudo
の権限がなくても実行可能です。
とくに大きなエラーもなくインストールは完了します。
インストールが完了すると、RaspberryPi
のメニューとデスクトップにPi Apps
のアイコンが表示されます。
メニュー側は【アプリ】→【アクセサリ】→【Pi Apps】から起動できるように登録されています。どちうらでも良いのでダブルクリックで起動するとGUIのランチャーが起動します。
いろいろなアプリをインストールできるので、これもなかなかにすごいことなのですが、今回はZoom
をインストールするので、
メニューの中から【Internet】をクリックして
メニュー下の方にスクロールして…(Discord
、TeamViewer
なども見えますね)
Zoom
が見えたら、クリック(選択)した後にウインドウの一番下にある【+】ボタンをクリックするとインストールが開始されます。
インストールはコンソールが新たに開くのでそれで進捗を確認できます。
インストールが完了すると、Zoom
の前にチェックアイコンが付きます。これで完了となります。RaspberryPi
のアプリメニューから起動が可能です。
メニュー側は【アプリ】→【インターネット】→【Zoom】で起動していきます。起動時にはコンソールが開いてしまいますが、そこはエミュレータの起動を行う必要もあるので、エレガントではありませんが、仕方ないかなとも思えます。
少し時間がたつとZoom
のウインドウが開きます。
動作するのか?
あとは、Zoom
の操作を行っていきます。ここからはちゃんと動くのかというところですが。
既存のユーザーのログインに関しては問題なく行えました。
たまに空振りしてしまうこともあるようですが。
ログインできれば、見慣れたZoom
の画面が現れます。NEW Meeting
、Join
も問題なく機能しています。
開始すると、音声の設定が表示されます。設定に関してはZoom
上でもできるようですが、RaspberryPi
側の設定と一致していないとできないのかもしれません。今回はスピーカーに関してはうまくいきましたが、マイクに関しては動作していませんでした。もしかしたら、マイクなどによってはうまく行かないこともあるのかもしれません。
また、カメラに関してもうまく動作しません。相手先の映像はちゃんと表示されているのですが…
最初はカメラの設定が駄目なのかと思ったのですが、ブラウザでGoogleMeetを立ちあげてみたところ正常に使用できていました。
情報サイトをみるとうまく動いているようだったので、接続するカメラやマイクの機種は選ぶということでしょうか。ちょっと残念です。
その2(PiKISSを使用する)
2つ目の方法は以下になります。
PiKISS
を使用して導入していくことになります。PiKISS
も同様にアプリのインストーラーの役目をするものです。違いがあるとすれば、GUI形式ではなく、コンソール形式のメニューになっている点が大きく違います。Zoom
に限らずその他アプリのインストールもおこなえます。コンソール上のインストールではありますが、RaspberryPi
のX環境での設定(メニューへの登録など)も行ってくれます。
まずはPiKISS
のインストールを行っていきます。以下のコマンドをコンソール上で実行します。
$ curl -sSL https://git.io/JfAPE | bash
あとは実行完了を待つだけになります。パッケージなどをインストールしていくこともあり、結構時間がかかります
以下のような表示がでればPiKISS
のインストール作業は完了です。表示では【RaspberryPiメニュー】→【システムツール】→【PiKISS】とたどっていくことで起動できる(登録されている)ということがかいてあります。
書いてあるとおりにメニューを辿ってPiKISS
を起動します。
起動するとコンソールベースのPiKISS
が起動します。
Zoom
は【Internet】のカテゴリーにあるのでカーソルを操作して、【Enter】キーを押します。
後はZoom
までカーソルをあわせて、
【Enter】キーを押します。
あとはインストールの完了を待ちます。
動作するのか?
そのままZoom
を起動してくれますが、RaspberryPi
のメニュー側にも登録もしてくれます。2回目以降はそちらから起動を行いましょう。
Zoom
の起動画面が表示されます。既存ユーザーのログインも問題なく行えました。
ログイン後も問題ありません。ただ、さきほどのPi-Apps
から起動したZoom
とは違う点があります。バージョンが最新のものがあるという表示があったのですが、それがありません。インストールしているバージョンが異なるのかもしれません。
今回はカメラの映像が表示されました。バージョンが違うから?Windows10 側とのZoom
を接続していますが、RaspberryPi側で表示される画質が良くないですね。Windows10側で見るRaspberryPiのカメラ画像はそこまで悪くないので、処理能力の差かもしれません。遅延に関してはそこまで大きくないと思います。
音声に関してはRaspberryPi側がやはりうまく行かないようです。
RaspberryPi側のZoom画面
Windows10 側のZoom画面
仮想背景を使ってみようと思ったのですが、以下のような警告がでてしまって使用できません。Pentium4の1.5GHz以下ではつかえないということですが、ARMプロセッサだから使えないのか、プロセッサの処理能力が低いので使えないのかはちょっとよくわからなかったですね。
おわりに
アプリ版のZoom
をRaspberryPi
で動作させてみようという試みでした。音声に関してはマイクの設定がうまく行かないことがあったのですが、もしかしたら接続したUSBマイクやカメラによってはうまくいくのかもしれません。RaspberryPi側の音声や映像が送信できませんが、ウェビナーのような形での接続であればほぼ問題ないと思います。
加えてRaspberryPiでもx86エミュレーションがそれなりのスピードで動くというのはかなりおどろかされました。M1のMACでx86のバイナリが高速に動くというのも今回の件でかなり納得できた気がします。
参考