Google I/O 2026、去年と何が違ったのか? 2025の発表と並べて気づいた4つのこと

Google I/O 2026(2026年5月19日(火)〜5月20日(水)開催)が終わりました。例年通り発表数が多すぎて、自分も全体像を整理するのにけっこう時間がかかったんですよね。Gemini 3.5 Flash、Managed Agents、Antigravity 2.0、Searchの刷新、ChromeのWebMCP…どれも単体では追えるんですが、束ねて眺めると「去年とは違う方向に進んでいる」という印象が残りました。

そこで今回は、2026年単体のまとめではなく、2025年と2026年の発表を並べて見たときに、Googleがこの1年でどこに舵を切ったのかを整理してみます。仕事や開発のためというより、単純に去年との違いが気になって調べているうちに面白くなってきた、というのが正直な動機です。

並べる切り口は本当にいろいろあるんですが、その中で自分がいちばん気になったのは次の4つでした。AIの役割、開発ツールの位置づけ、Searchの作り直し、そしてモデルそのものの扱われ方です。今回はこの4つの軸に絞って眺めてみます。

⚠️ 本記事の情報は2026-05時点のものです。I/O 2026の発表は提供時期が米国先行・Pro/Ultra先行のものも多く、機能やAPIの仕様は今後変わる可能性があります。

執筆のベースにした調査

2025年と2026年のI/O発表内容については、ChatGPTのDeep Researchを使用して集めた情報を使用しました。以下のDeep Researchの結果を補助資料として参照してください。

⚠️Deep Researchの出力には誤りが含まれている可能性があるので、本文中の重要な数字・日付・仕様については別途公式の情報で確認するのがいいと思います。(自分用への宿題でもあります😅)。

1. AIは「載せる」から「動く」へ

この1年でAIの役割そのものが変化しました。

2025年の発表を振り返ると、Gemini関連のキーワードは「組み込み」が中心だったように感じます。Gemini Liveでカメラ越しの対話ができるようになり、SearchにAI Modeが入り、GmailやDocsにGeminiが常駐するというものでした。つまり、AI機能を既存のサービスやUIに載せていく段階だったのでしょう。Gemini 2.5 ProのDeep ThinkやGemini 2.5 Flashの効率改善も、あくまで「より良い回答を返すAI」を作るための強化といえたでしょう。

2026年の発表を見ると、雰囲気が変わったように感じます。前面に出てきたのはManaged Agents、Antigravity 2.0、Search情報エージェント、Gemini Sparkといった、実行を伴うエージェントでした。Managed Agentsは単一のAPI呼び出しでGoogleホストのLinuxサンドボックスを立ち上げ、エージェントが推論からコード実行、ファイル管理、Webブラウズまで自律実行すると説明されています。

Search情報エージェントは24時間条件を監視して要約を更新するとされ、Sparkはメール送信や予定追加のような操作の前にユーザーへ確認を取りながら動く設計だと公式ブログで紹介されています。

2025年が「AIが答える」を整えた年だとすれば、2026年は「AIが作業する」を整えた年といえるでしょう。

自分の感覚では、この1年でGoogleがAI製品を語る言葉が「賢さ」から「タスク」に置き換わってきた、という印象です。Gemini 2.5の発表ではベンチマーク上位やDeep Thinkの話が中心でしたが、2026年のManaged Agentsは、いきなり「Linuxサンドボックス」「外向きネットワーク」「AGENTS.mdのマウント」という、実行環境側の話が出てきます。AIの評価軸が、回答品質から実行品質へ移ったようにも見えます。

2. 開発ツールは「人間支援」から「エージェント主体」へ

次に大きな変化が、開発者向けツールの位置づけです。ここははてな読者にいちばん影響が出る軸だと思っています。

2025年に発表された開発者向けAIツールを並べると、Gemini Code Assistの無償化、自動でテスト作成やバグ修正を行うAIエージェントJulesのBeta公開、Firebase StudioのAI強化といった顔ぶれでした。いずれも軸は「人間が書くコードをAIがサポートする」ということです。エディタの中でAIが提案し、人間がレビューして採用する、という従来のコーディング体験を強化する方向でした。

2026年は、ここが変わったように見えます。発表の主役はAntigravity 2.0と、それに付随するAntigravity CLI、Antigravity SDK、そしてManaged Agents APIです。Antigravity 2.0はサブエージェント、端末サンドボックス、資格情報マスキング、Gitポリシー強化を打ち出し、Antigravity CLIにはGemini CLIからのワンタイムインポート機能も用意されたとされています。

ツールの構造を2025年と2026年で並べると、こんな感じになるでしょうか。

観点 2025年 2026年
主役のツール Gemini Code Assist、Jules (Beta) Antigravity 2.0、Managed Agents
想定する主体 人間がコードを書き、AIが補助 エージェントが作業を進め、人間がレビュー
実行環境 ローカルIDEが中心 リモートサンドボックス + IDE連携
配布形態 IDEプラグイン、CLI CLI、SDK、Managed API、IDE連携
安全性の論点 提案コードの品質、ライセンス 通信制御、資格情報、ジョブ承認

Chrome側の発表も、この流れの一部として読むのが自然です。Chrome DevTools for agentsはAntigravityを含む20以上のコーディングエージェントで利用可能とされ、コンソール、ネットワーク、アクセシビリティツリーをエージェントに開放する仕組みだと紹介されていました。さらにWebMCPは、エージェントが生DOMを叩くのではなく、JavaScript関数やHTMLフォームのような「構造化ツール」を扱える形にする提案で、Chrome 149でOrigin Trialが始まるとのことです。

2025年のChromeは、生成AI関連ではPrompt APIくらいしか目立った話題がなかった印象でした。それが2026年には、エージェントがブラウザで作業しやすい環境を整える、という話題が前面に出てきています。

「AIを載せやすいWeb」から「AIが作業しやすいWeb」へという表現に近いかもしれません。

3. Searchは増分改善から構造変更へ

3つ目はSearchです。これも2025年と2026年で位置づけが変わったと感じる部分です。

2025年のSearch関連の発表は、AI Modeの本格展開とAI Overviewsの拡大が中心でした。検索結果の上にAI要約を載せる、専用のAI Modeタブで自然文の質問に答える、といった機能です。検索体験は変わったものの、構造としては「検索結果にAI要約を足す」という表示改善の延長線でした。

2026年は、ここを大きく作り直しに来た印象です。具体的には、長い自然文、画像、ファイル、動画、Chromeタブの内容まで受け付ける新しい入力欄、24時間条件を監視し続ける情報エージェント、質問ごとにグラフや表やダッシュボードを動的に生成する生成UI、そして継続利用できる「ミニアプリ」的なカスタム体験までが含まれています。かなり大きな構造変更で、単純に「検索結果にAI要約を足す」から、「検索の中にAIが常駐して作業する」という段階へ移っているように見えます。

Search上では、3種類の動きが起きています。

  • 第1に、入力チャネルが「キーワード」から「あらゆる情報」に開かれました。
  • 第2に、出力が「リンクのリスト」から「目的別に組み立てられたUI」に変わりつつあります。
  • 第3に、検索が「一回の問い合わせ」から「継続的に状態を持つ作業」に変わろうとしています。

3番目が大きく変わったように見えます。情報エージェントが、ユーザーが一度依頼した条件をもとに、後日も自動で要約を更新したり、行動を提案したりすると言われていました。これはSearchを入口にしたエージェント常駐とも言えるでしょう。2025年のAI Modeが「より賢い検索」だったとすれば、2026年は「Searchを入口にした作業の常駐化」と言えるのかもしれません。

このことは、開発者・サイト運営者の立場からみると、検索流入を前提にしたコンテンツ戦略をそのまま続けるのは難しくなりと考えられるでしょう。Searchの話は、プロダクトの話だけでなく、自分たちのコンテンツ設計の話として読み直す必要が出てきました。

4. モデルは「主役」から「基盤」へ

最後の軸は、モデルそのものの扱われ方です。これはこれまでに述べた、軸1から軸3を補強する視点ともみえます。

2025年のI/Oでは、Gemini 2.5 ProとGemini 2.5 Flash、Imagen 4、Veo 3、Lyria 2といったモデル群が、それぞれ独立した主役として並んでいました。Deep Think、ネイティブ音声出力、2K画像生成、テキストからの音声付き動画生成——モデル単体の話題で1セッションが成立する構成でした。

2026年では、Gemini 3.5 FlashとGemini Omni Flashが発表されましたが、扱われ方が違うようです。Gemini 3.5 Flashは「最もインテリジェントなFlash」と位置づけられ、強調されたのはagentic execution、coding、long-horizon tasksといった用途でした。つまり、モデルの仕様より、「このモデルがエージェント基盤の前提なっている」という構図が前に出ています。

Omni Flashも同様で、画像・音声・動画・テキストから動画を生成するという派手さよりも、「WorkspaceやAI StudioやGeminiアプリの中で実行される」という表現で語られていました。モデルが単独製品として光るのではなく、エージェント基盤の一部として輝く、という移行と感じます。

5. この1年で見えた方向

ここまでの4つの軸から、Googleが向かっている先がなんとなく見えてきます。

2025年は、AIをSearch、Workspace、Android、Cloudという既存の巨大な面に「載せる」ことに比重を置いた年でした。Gemini Live、AI Mode、Code Assist、Imagen 4、Veo 3など、どれも単体製品として強く、それぞれが既存サービスを補強する形でリリースされていました。

2026年は、その上に乗せるべき「エージェント実行の層」を一気に整えに来た年だと感じました。Managed Agentsが実行環境を、Antigravity 2.0が開発体験を、WebMCPとDevTools for agentsがWeb側のインターフェイスを、Search情報エージェントとSparkが日常利用の入口を担う、という構図です。モデルの強化は引き続き行われていますが、相対的な比重は「モデル単体」から「モデルを機能させるための基盤」に移っています。

競合との対比からみると… AnthropicはClaude Codeでコーディングエージェントの方向に強く、OpenAIはAssistantsやCodex系で似たレイヤーを攻めています。Googleが今回AntigravityとManaged Agentsをセットで出してきたのは、ここに対する応答といえるでしょう。

一方で、Googleが他社と違う点は、検索という巨大な日常利用の側面を持っていることです。エージェントを「開発者ツール」として作るだけでなく、「Searchの中に常駐させる」「Chromeに組み込む」「Workspaceに統合する」という形で、ユーザー側の入口を同時に整えに来ています。

エージェント基盤と巨大な配布チャネルを同時に動かせるのは、今のところGoogleにしかできない芸当だと思います。これが、GoogleのAI戦略の最大の強みであり、同時に最大のチャレンジでもあるでしょう。

6. 開発者としてはどう考える?

最後に、自分自身の備忘も兼ねて、いま手を動かすときに意識したいことをいくつか書いておきます。

新規プロジェクトのモデル選定は、Gemini 3.5 Flashを候補に入れる価値が出てきました。ただし、Computer Useのような特定機能が必要な場合は経路が変わるので、用途ベースで判断する必要があります。また、エージェントの組み方は、試作と本番境界を意識的に分けたほうがよさそうです。

検索流入を前提にしたコンテンツや集客を考えるならば、AI Modeと情報エージェントと生成UIの影響をどう受けるかを考えておきたいですね。これは技術判断というだけでなく、サービス設計や事業判断に近い話となるでしょう。

おわりに

2025年と2026年のI/Oを並べて眺めてみると、Googleの発表が「AIを載せる年」から「AIが動く年」へ切り替わったことが、くっきり見えたように感じます。

I/O 2026の発表は数も多く、提供時期も米国先行やPro/Ultra先行が目立つので、すべてをそのまま日本で再現できるわけではありません。それでも、向かっている方向は把握しておく価値があると思います。自分自身、これからローカルLLMやMCPまわりのコンテンツを書くときに、この1年の補助線を頭の片隅に置いておくつもりです(書きながら自分の宿題が増えていくのはいつものことですね😅)。

参考リンク

補助資料(ChatGPT Deep Researchによる調査結果)

この記事の整理にあたっては、以下のDeep Research結果を補助資料として参照しました。この中には個別発表の詳細、スペック、提供時期、関連リンクなども含まれています。